脊椎マニピュレーション 第6章「環椎と後頭骨のリリース」
第6章
環椎と後頭骨
環椎のリリース
頸部を完全に理解するためには、
後頭骨~C2の制限をいかにリリースするかを知る必要があります。
環軸関節の動作は90%が回旋で、わずかに側屈しますが
臨床的視点からはさほど重要ではありません。
C1で問題が起きた時、それは回旋制限です。
C1の横突起が前方・後方にあるかどうか触診することで
回旋しているかを知ることができますが、触知することは難しいです。
またわずかに回旋していたとしても制限がない時があります。
機能障害を知るための動作テスト
患者は背臥位
両手で頭部を持ち、頸部を45°屈曲させます。
この状態ではC2~C7はロックした状態になり、C1と後頭骨は一緒に動きます。
そして頭部を左右に回旋させてください。
もしC1の動きに制限がなければ左右容易に回旋できますが、
制限がある場合どちらかは回旋できません。
従って頭部が右は容易に回旋でき、左には回旋出来ない時、
C1は右回旋し左回旋において制限されています。
C1をリリースすることは容易です。
患者の頭部を45°屈曲に保ち、制限されている方向に回旋させます。
制限されている側に示指と中指の二本、あるいはどちらかを
C1の後弓上に置き、頭部の全ての重さが指にかかるようにしてください。
リリースされるまでその状態で待ちます。
リリースを促すために頭部を制限されている側に回旋、軽く揺らすことを
行ってもよい。
完全に制限がリリースされたと感じたら、再度回旋検査をします。
リリースが不完全であれば、再度リリースしてください。
この行程を数回繰り返すことが必要になるかもしれません。
先端、横突起には指が当たらないようにしてください。
患者に痛み・不快感を与えてしまいます。
後頭骨のリリース
後頭骨の動きの制限はよく見られ、もしリリースされなければ再発します。
C1~C7を完璧にリリースしたとしても、後頭骨が残れば痛みをとることはできません。
後頭骨の制限は時間の経過とともに脊柱の至る所に現れ、
ほかの制限の原因となり得ます。
後頭骨は正常、異常に関わらず、前後屈でタイプ1(側屈と回旋の方向が異なる)
の動きです。
後頭骨とC1には椎間板はなく、ほかの脊柱と動きが異なります。
後頭顆は前屈でC1の上方の関節面上のくぼみの上後方に滑り、
後屈ではC1の上で前方に滑ります。
右側屈では右側は下方に滑り、左側は上方に滑る
後頭顆は開閉しないため前屈位後屈位のどちらかで固まっていると表現される。
トランスレーション・テスト
前屈位で制限を見つけたら後頭顆は後方に滑ることができないことになり、
後屈位で前方に固まっている。
後屈位で制限を見つけたら後頭顆は前方に滑ることができないことになり、
前屈位で後方に固まっている。
後頭骨が両方向に水平移動するには後頭顆は前方すべりが必要です。
前屈位で前方に固まっている後頭顆の動作制限は逆側
後屈位で後方に固まっている後頭顆の動作制限は同側
右に制限がある場合
頭部を持ち上げ、頸部を屈曲させる。
頭部を右側屈と回旋し、後頭顆近くの後頭骨基底部に右示指、中指を置き
指に体重がかかるようにする。
そのままリリースを待つか、
右側に優しく回旋、側屈するか軽く揺らすことでリリースを促す。
もう一度検査します。これを複数回繰り返します。
一回でリリースされることは稀です。
リリースの別法
左から右に水平移動させる間に前屈位で制限を見つけたと仮定します。
右から左では動作制限なし、
右後頭顆は前方で固まり、後頭骨は左側屈できない
前屈位で患者の頭部を保持
左手で頭部を左に側屈し回旋する。
右前方に固まっている後頭顆にそばに指を置き、後上方頭側に圧をかける
リリースを待つか、左に回旋、軽く揺らす
しかしダンスに従い、また再度検査、結果の検証する。
第6章はここまでです。
第6章は10ページにわたり書かれていますが、
伝えたいことは上記に書いてあることです。
その他の章と同様に、同じ内容を繰り返して書かれているだけでした。
参考・引用文献:
「脊椎マニピュレーション
~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~」
Jeffrey Maitland 著
翻訳:田喜知秀彦
監修:泉秀幸
出版:医道の日本社
※このブログでは究極に読みにくい治療本
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~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~
Jeffrey Maitland 著 出版:医道の日本社
を要約し、治療で必要と思われるところをまとめたものになります。
なお、使用している写真はフリー素材であくまでもイメージになります。
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