脊椎マニピュレーション 第8章②「機能障害の検査と触診」
仙腸関節における機能障害のための検査法と触診
骨盤の機能障害を生み出す3つのパターンは
捻転・フレア・ズレです。
捻転
寛骨が前方か後方に捻転する
フレア
寛骨のフレアはアウトフレアかインフレアのどちらかです。
アウトフレアは腸骨が外側に回旋し、坐骨結節が内側に回旋します
インフレアは腸骨が内側に回旋し、坐骨結節が外側に回旋します。
ズレ
前後のズレ(前後滑り)か上下のズレ(上下滑り)
検査法
立位屈曲テスト
PSISに両母指を置き、
患者には立位で最大限無理なく前屈できるところまで前屈してもらう
もし仙腸関節が固まっているようであれば片方の母指が上にずり上がります。
ずり上がった方が固まっています。
ハムストリングもしくは腰方形筋が非対称に硬くなっていない限り、
このテストは大変よく機能します。
※母指がずり上がった方と逆側のハムストリングが硬い場合、
同側の腰方形筋が硬い場合でも同じ現象になるため鑑別が必要です。
このテストでは、仙腸関節が固まっていることだけがわかります。
捻転、フレア、ズレは識別できません。
このテストは座位でも可能です。
立位では骨盤、脚の影響を加えた状態で固まった関節を見ています。
立位、座位共に同じ結果であれば、それは間違いなく関節が固まっています。
ストーク・テスト
まず立位でPSISと正中同じ高さに指をおく
その後指を置いた側の脚を膝が90°になるようにあげてもらいます。
もしPSISが下にさがれば問題なしで、上にあがれば制限ありになります。
この本では動かなければ制限ありとしています。
まずはテストで制限がどちらにあるのか知りましょう。
制限がどちらにあるのかが、基準になり、
今から紹介していく触診の結果になります。
インフレア・アウトフレアの触診
背臥位でへそに正中線を引き、ASISが内にあるか外にあるか見ます。
もし右が内側に左が外側に来ているように見える時
制限されていた方を基準に考えてください。
右が制限されていたのであれば、インフレア
左が制限されていたのであれば、アウトフレアになります。
ズレのための触診
ほとんどが上方すべりのズレで下方すべりは珍しいです。
腹臥位で左右の坐骨結節の上におき、上下の差を見ます。
上方に行っており、制限されている方と同じであれば、
それは上方すべりになります。
※腰椎の側屈による弯曲により寛骨がズレて見えることがあるため鑑別すること
上方すべり別法
腹臥位で左右PSISを見る
背臥位で左右ASISを見る
どちらも上に向かっている時は上方すべりしている。
ズレている方では恥骨と鼠径靱帯に圧痛がある
前後のズレ
恥骨が前方に来ているか後方に来ているか
屈曲テストで制限のあるほうにズレている方が前後どちらかで固まっている。
前後の捻転
通常、捻転は骨盤の機能障害で最も起こりにくいものです。
上記の屈曲テスト➡フレア触診・ズレ触診をし
その後、まずフレア、ズレの矯正をしてから捻転の触診してください。
利き足と捻転の関係
利き足側が前に捻転、逆が後ろに捻転することが通常です。
もし利き足と逆であれば外傷によって起こったものかもしれません。
屈曲テストで得た情報とズレ、フレアを矯正したのち
それでもまだ固まっているようであれば、捻転を矯正します。
背臥位でASISの前後を見る
屈曲テストで固まっていた方が前後で捻転しています。
機能障害は2つの組み合わせはあっても
3つ揃うことは著者も見たことがないそうです。
ただそんなケースもあり得るだろうと話しています。
触診でズレなのかフレアなのかわからなかった場合
屈曲テストで固まっている方を見つけ、そちらを矯正することになりますが、
まずズレを矯正してから再検査した時にテストで陰性になっていれば、
ズレが原因だったことになります。
もし再検査でも陽性なのであれば、次はフレアを矯正してください。
それで再検査して陰性になれば、矯正完了です。
参考・引用文献:
「脊椎マニピュレーション
~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~」
Jeffrey Maitland 著
翻訳:田喜知秀彦
監修:泉秀幸
出版:医道の日本社
※このブログでは究極に読みにくい治療本
脊椎マニピュレーション
~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~
Jeffrey Maitland 著 出版:医道の日本社
を要約し、治療で必要と思われるところをまとめたものになります。
なお、使用している写真はフリー素材であくまでもイメージになります。
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