脊椎マニピュレーション 第1章③「椎骨の簡易間接的テクニック」

 

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椎骨の簡易間接的テクニック

※先に述べてしまうと、このテクニックはあくまでも

「椎骨の回旋異常」を元に戻すためのものになります。

「椎間関節」のリリースは次の章で語られます。

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例:(T5の上で)T4が右回旋

T4が右は隆起して背側に 左はくぼんで胸側に回旋して止まっています。

約1㎏の圧でT4のくぼんでいる左側をさらに前方に押し出します

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一般的な考え方では

「右の横突起が隆起しているのだから右を押す方が自然」と思うかもしれませんが、

あえてくぼんでいる左の横突起を押し込むことで身体の反応を起こさせることを

【間接的テクニック】と呼びます。

 

スラストテクニックでは飛び出ている方を押します。

これは直接的テクニックと呼びます。

 

間接的テクニックは機能障害が生じている部分をさらに押し込むことで、

正常なポイントにもどるようにします。

 

力のかけ方は

早く、強く押すと抵抗感が増してしまうため、

ゆっくり、やさしく、かつしっかりと押します。

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押すことによって数秒間はなにも反応は起こりません。

しばらくはそのままで待ってみてください。

 

するとT4はさらに右回旋(と側屈)をはじめます。

T4の動きが止まるまでそのままで保持してください。

 

動きが止まるまでは椎骨は奇妙で予期せぬ回旋と側屈を起こすかもしれません

それでもその状態を保持してください。

脈拍が触知できる感覚があるかと思います。

 

この状態を続けると次は椎骨が逆回旋し始めます。

この逆回旋が始まり完全に椎骨が止まるまでは

左に右に、屈曲・回旋などの奇妙な動きを感じるかもしれません。

 

そして完全にT4の動きが止まった時、

押していた母指の下の組織がなめらかに感じられるはずです。

 

軟部組織の緊張が解かれ、矢状面で身体が調整されたと感じたら終了です。

椎骨周辺の軟部組織の緊張がとれ正常な状態に戻ります。

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間接的テクニックは驚くほどの効果が出るときと

わずか数分から数時間で問題が再び現れることもあるため、

必ずしも効果的とは言えません。

 

なぜかと言うと間接的テクニックは

腰背部痛に最も重要な椎間関節の制限への働きかけに欠けているからです。

 

軟部組織の緊張を解きほぐすことはできても

固まった椎間関節にはアプローチできてはいないのです。

 

第1章はここまでとなります。

補足ですが「1㎏の圧」と言われても

実際どのくらいの力加減なのかわからないと思います。

そのような場合、お家にある体重計を指で押して1㎏の圧が

どのくらいのものなのか確かめてみてください。

 

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参考・引用文献:

「脊椎マニピュレーション

~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~」

Jeffrey Maitland 著 

翻訳:田喜知秀彦

監修:泉秀幸

出版:医道の日本社

 

※このブログでは究極に読みにくい治療本

脊椎マニピュレーション

~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~

Jeffrey Maitland 著 出版:医道の日本社

を要約し、治療で必要と思われるところをまとめたものになります。

なお、使用している写真はフリー素材であくまでもイメージになります。

原文のまま、お読みになりたい方はぜひ本をお買い求めください。