脊椎マニピュレーション 第9章①「肋骨の機能障害の見つけ方」

 

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第9章

肋骨

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肋骨は腰背部痛の一因になり、そして痛みを持続させます。

胸椎は150の関節を持ち、肋骨一本あたり6つの関節が関わっています。

肋骨、その周辺の関節を含む胸椎の制限をリリースすることは、

頸部、腰部を操作することなく頸部、腰部をリリースすることにもつながります。

 

肋骨の影響

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肋骨は胸椎、胸骨などと接合しています。

機能障害に陥った肋骨のねじれは通常、

椎骨の回旋や胸椎におけるタイプⅡの機能障害から生じる。

 

例えば第5肋骨は

T4の下肋骨窩、T5の上肋骨窩、T5の横突起の肋骨窩に付着しています。

もしT5の上でT4が右回旋したら、T4は肋骨の上部を引っ張る一方で、

T5に付着している下部は、回旋に影響されることなく、そのままの状態を保つ。

T4の右回旋は、このようにして右第5肋骨の外方へのねじれと

左第5肋骨の内方へとねじれを生み出します。

 

第11と第12肋骨は胸骨につきません。

この二つは腰筋群の筋膜損傷で結合が固まります。

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肋骨と胸椎の密接な関係は椎骨の機能障害をリリースすることで

しばしば肋骨の機能障害を容易にリリースすることができる

(最初に胸椎のタイプⅡの固定をリリースします。)

長く続く背部、頸部の痛みにおいて肋骨は非常に重要です。

 

固まっている肋骨の見つけ方

肋骨は内、外にねじれたり、前方、後方に不完全な外れ方をしたり、

第1肋骨は上方にすべったり、外傷により歪んだり、機能障害を起こしたりします。

ねじれ、亜脱臼、第1肋骨の機能障害を見ていきますが、

肋骨がねじれているか亜脱臼しているかはそれほど重要ではありません。

また評価と治療はセットになっています。

 

肋骨のねじれ

肋骨が外方上か内方下にねじれた状態

 

亜脱臼

胸郭の左右差で確認、前方脱臼か後方脱臼

背部の筋肉の発達で触診しにくくなる

 

スプリング・テスト

母指を肋横突溝に置き、前方に押しては離す。

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骨の跳ね具合を見る。跳ねなければ固まっている

 

補助的スプリング・テスト

患者は座位

患者は両腕を交差させ、肩におく

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術者は患者の腕を持ち上げ、その時に母指で前方に押し、腕を下げた時に圧を解く

もし固まっていれば、前方に押した時に沈まない

 

肋骨の圧痛点

背中であれば肩甲骨内側縁に沿ってある。

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軟部組織をリリースしても痛みが残る場合は肋骨をリリースしなければいけないが、

軟部組織をリリースしておくことで肋骨のリリースを助けることになる。

 

第1肋骨

第1肋骨の機能障害は上方で固まり、

同側の斜角筋の筋緊張と上方面の目立った圧痛がある。

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頸椎の痛みのリリースをしてもまだ痛みが残る場合、(僧帽筋の上部など)

第1肋骨が固まっていることになります。

患者を座位で第1肋骨を下向きに押して跳ね返りがなければ固まっています。

または両母指を第1肋骨に置き座位で深呼吸してもらう。

左右で動かない方があれば固まっています。

 

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参考・引用文献:

「脊椎マニピュレーション

~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~」

Jeffrey Maitland 著 

翻訳:田喜知秀彦

監修:泉秀幸

出版:医道の日本社

 

※このブログでは究極に読みにくい治療本

脊椎マニピュレーション

~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~

Jeffrey Maitland 著 出版:医道の日本社

を要約し、治療で必要と思われるところをまとめたものになります。

なお、使用している写真はフリー素材であくまでもイメージになります。

原文のまま、お読みになりたい方はぜひ本をお買い求めください。