脊椎マニピュレーション 第2章②「ショットガンアプローチ」

 

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椎間関節の制限の有無

【椎間関節に制限がない場合】

前屈時椎間はわずか上方および前方に滑りひらくオープンポジションといいます。

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後屈時椎間はわずか下方および後方に滑り閉じるクローズドポジションといいます。

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【椎間関節に制限がある】

前後屈時に椎骨が固定されている場合、

隣接する椎骨は強制的な回旋か元にもどろうとする。

固定させている場合、隣接する椎骨は前屈・後屈で前後に動く

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図はニュートラル・ポジションでの機能障害(タイプⅡ)

右に回旋かつ側屈している(同側に回旋側屈)

 

この場合の問題は

左は開いたまま固定されているのか?

右は閉じたまま固定されているのか?

どちらが制限された側なのかである。

 

制限された椎間関節は固定軸になるため、

その周囲の椎骨は前後屈の際に回旋を余儀なくされる。

従って、その周囲の椎骨が回旋ないし、回旋してから元にもどろうとしているときに、そうなった側の横突起が機能障害を起こしている。

 

椎間関節の制限を解放するテクニック

ショットガンアプローチ

※固まっているが機能障害を起こしているとは限らない

その椎骨がニュートラル・ポジションで固まっていないのであれば、

ショットガンアプローチを行う必要がない

 

椎骨が回旋しそれに伴い椎間関節が制限されていることはよくあることで、

痛みがあれば、ショットガンアプローチは有効である。

回旋している椎骨がニュートラル・ポジションでも同様にタイプⅡであれば、

機能障害をおこしており、どちらかは開いた状態・閉じた状態である。

その場合どちらとも言わず、両方を治療する。

 

問題のある椎骨は

●閉じた状態で前屈で開かない

●開いた状態で後屈で閉じない

 

それではショットガンアプローチをご紹介していきます。

※問題がある椎間関節とその周囲の軟部組織は圧をかけた際に、

圧痛・痛みが起きることがある。

 

ショットガンアプローチは椎間関節にアプローチします。

椎骨が閉じていれば前屈の姿勢で行い

椎骨が開いていれば後屈の姿勢で行います。

 

例:椎骨がタイプⅡで固まっている

 

胸椎の場合

【閉じている側のアプローチ】

患者は座位で軽度前屈位になります。

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術者はこぶしか肘を椎間関節の閉じた状態で固まっていると推測される

椎骨の脊椎溝(棘突起と横突起の間のこと)に置きます。

 

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※脊椎溝は著者の言い回しであり、正式な解剖学用語ではありません。

 

その場所にゆっくりとかつしっかりと2~5㎏の継続的な圧をかけ、

こぶしまたは肘が止まる位置まで沈めていき、組織がほぐれるまで待ちます。

●胸椎が閉じている場合

頭側斜め上に向かって圧をかける

リリース後、ニュートラル・ポジションで戻っているか確認します。

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【開いている側のアプローチ】

患者は座位で軽度後屈位になります。

●胸椎が開いている場合

足側斜め下に向かって圧をかける

あとのやり方は上記と同じです。

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閉じている場合・開いている場合のアプローチを

両方をおこなったあとに回旋異常が消失しているか確認します。

 

腰椎の場合

腹臥位で行います。胸椎と同様に

椎骨が閉じていれば前屈の姿勢で行い、

前屈位をとるためタオルなど厚みのあるものを敷いてください。

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椎骨が開いていれば後屈の姿勢で行い、

患者に上体を起こしてもらうか、枕などで後屈位になるようにしてください。

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あとのやり方は胸椎の時と同じです。

腰椎に対する圧のかけ方は気にしなくていいです。

下向きに押してください。

またこぶしや肘だけでなく、指を使っても構いません。

 

練習では胸椎、腰椎での違いや、

座位と腹臥位での違いを確認しておきましょう。

 

側臥位で行う場合

側臥位であれば胸椎・腰椎どちらにもアプローチ可能です。 

椎骨が閉じている方が上になるように側臥位で

身体全体を丸め胎児のようになってもらいます。

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あとは上記と同じように圧をかけてリリースされるまで待つだけです。

 

開いている方を上で身体全体を後屈(反らす)してもらいます。

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あとは上記と同じように圧をかけてリリースされるまで待つだけです。

 

ショットガンアプローチの補足

前章の間接的テクニックは軟部組織のみにアプローチします。

制限がひどくない場合のみ効果的です。

関節が固まっている場合、周辺組織を緩めるより、

関節自体にアプローチした方が効果的です。

 

※原文では、ショットガン的アプローチ、ショットガン・アプローチ、

ショットガン・テクニックと表現がバラバラに出てきますが、

結局はショットガン・アプローチのことだと思います。

 

第2章はここまでです。

 

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参考・引用文献:

「脊椎マニピュレーション

~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~」

Jeffrey Maitland 著 

翻訳:田喜知秀彦

監修:泉秀幸

出版:医道の日本社

 

※このブログでは究極に読みにくい治療本

脊椎マニピュレーション

~機能障害に対する軟部組織からのアプローチ~

Jeffrey Maitland 著 出版:医道の日本社

を要約し、治療で必要と思われるところをまとめたものになります。

なお、使用している写真はフリー素材であくまでもイメージになります。

原文のまま、お読みになりたい方はぜひ本をお買い求めください。